シャワーの後の排水溝に溜まる髪の毛、朝起きた時の枕に残る抜け毛、鏡に映る自分の額や頭頂部の変化。ふとした瞬間に「もしかして自分はAGA(男性型脱毛症)なのではないか」と不安に駆られる男性は少なくありません。AGAは進行性の脱毛症であり、放置すれば薄毛は徐々に進行していきます。しかし、早期に気づき、適切な対策を講じることで、その進行を食い止め、改善することも可能です。そのためには、まず自分自身の状態を客観的に把握するための「判断基準」を持つことが重要になります。専門医の診断が最も確実ですが、その前に自宅でできるセルフチェックで、AGAの可能性を探ることはできます。まず試していただきたいのが「抜け毛の質のチェック」です。正常なヘアサイクルで抜ける髪は、太くしっかりとした「棍棒毛」ですが、AGAによって抜ける髪は、細く短く、弱々しいのが特徴です。抜けた髪の中に、このような未熟な髪が混じっていないか確認してみましょう。次に、「昔の写真との比較」です。スマートフォンのアルバムを遡り、1年前、3年前の自分の写真と現在の顔写真を見比べてみてください。特に生え際の位置や、分け目の地肌の透け具合に変化はないでしょうか。記憶は曖昧ですが、写真は客観的な事実を突きつけてくれます。そして、定期的な「写真記録」も有効な判断基準となります。同じ場所、同じ照明の下で、正面、左右の生え際、頭頂部の写真を毎月撮影し、定点観測するのです。これにより、わずかな変化にも気づきやすくなります。これらのセルフチェックは、あくまで初期段階での目安です。しかし、これらの判断基準に一つでも当てはまる点があれば、それは専門家への相談を検討すべきサインと捉えるべきでしょう。不安を一人で抱え込まず、客観的な事実と向き合うこと。それが、AGA対策の賢明な第一歩となるのです。