AGA治療薬の服用を開始したからといって、翌日や一週間後に髪がフサフサになるわけではありません。多くの方が期待と不安を胸に治療を始めますが、効果を実感するまでには、ある程度の時間が必要です。このタイムラグを理解せず、「効果がない」と自己判断して服用をやめてしまうのは、非常にもったいないことです。AGA治療薬の効果発現のタイミングを理解するためには、まず「ヘアサイクル」について知る必要があります。髪の毛には、成長して伸びる「成長期」、成長が止まる「退行期」、そして抜け落ちる準備をする「休止期」というサイクルがあります。AGAは、この「成長期」が極端に短くなることで、髪が太く長く育つ前に抜け落ちてしまう病気です。AGA治療薬は、この乱れたヘアサイクルを正常な状態に戻すための薬であり、そのサイクルが一周するには時間がかかるのです。一般的に、効果を実感するまでの目安は次のようになります。まず、治療開始後1ヶ月から3ヶ月頃。この時期には、一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」が起こることがあります。これは治療が効いている証拠であり、ここで諦めないことが重要です。同時に、抜け毛全体の量が徐々に減ってくるのを実感する方もいます。次に、3ヶ月から6ヶ月頃。この期間になると、初期脱毛が落ち着き、産毛のような細い毛が生えてくるのを実感する方が増えてきます。また、既存の髪にハリやコシが出てきて、髪全体の質感が変わってきたと感じられる時期です。そして、6ヶ月から1年頃。産毛が太くしっかりとした髪の毛へと成長し、見た目にも明らかなボリュームアップや、地肌の透け感の改善を実感できるようになります。多くの人が、治療の効果に満足感を覚えるのがこの時期です。AGA治療は、短距離走ではなく、長期的な視点で取り組むマラソンのようなもの。焦らず、最低でも半年間はじっくりと続けるという心構えが、成功への鍵となります。