AGA治療薬は、薄毛に悩む多くの男性にとって希望の光ですが、医薬品である以上、その効果の裏には副作用のリスクが存在することを正しく理解しておく必要があります。治療を始める前に、どのような副作用が起こりうるのかを知っておくことは、安心して治療を続ける上で不可欠です。まず、フィナステリドやデュタステリドといった「守り」の内服薬では、男性ホルモンに作用するため、ごく稀に「性機能関連の副作用」が報告されています。具体的には、性欲の減退、勃起機能不全(ED)、射精障害などです。これらの副作用の発現頻度は数パーセント程度と低いものの、万が一症状が現れた場合は、一人で悩まずに速やかに処方医に相談することが重要です。また、頻度はさらに低いですが、肝機能障害や、気分の落ち込み、うつ症状などが現れる可能性も指摘されています。次に、ミノキシジルですが、「外用薬」の場合は、塗布した部分の頭皮に「かゆみ」「かぶれ」「発疹」「フケ」といった皮膚症状が現れることが主な副作用です。一方、国内未承認薬である「内服薬」の場合は、動悸、息切れ、めまい、むくみ、全身の多毛症など、より深刻な全身性の副作用のリスクが伴います。そして、これらの副作用とは別に、多くの人が経験するのが「初期脱毛」です。これは、治療を開始して1ヶ月から2ヶ月くらいの時期に、一時的に抜け毛が増える現象です。せっかく治療を始めたのに髪が抜けるため、驚いて服用をやめてしまう方もいますが、これはAGAによって乱れたヘアサイクルが、薬の作用で正常なサイクルへとリセットされる過程で起こる「好転反応」です。古い弱々しい髪が抜け落ち、新しく健康な髪が生えるための準備期間なのです。副作用と初期脱毛。これらのリスクと現象を正しく理解し、何かあればすぐに医師に相談できる体制を整えておくこと。それが、AGA治療薬と安全に付き合っていくための鉄則です。
知らぬは怖い?AGA治療薬の副作用と初期脱毛