自分でいくらセルフチェックをしても、本当にAGA(男性型脱毛症)なのか、どの程度進行しているのかを正確に判断するのは困難です。最終的かつ最も確実な判断基準は、やはり専門のクリニックで医師の診断を受けることです。では、専門医はどのような基準でAGAを診断しているのでしょうか。そのプロセスを知ることで、安心してクリニックに相談できるようになります。まず、基本となるのが「問診」です。医師は、いつから薄毛が気になり始めたか、抜け毛の量や質に変化はあるか、家族(特に母方の家系)に薄毛の人はいるか、生活習慣(食事、睡眠、ストレス、喫煙・飲酒の有無)、既往歴や服用中の薬などについて、詳しく質問します。これらの情報は、AGAの可能性や、他の脱毛症との鑑別、そして治療方針を決める上で非常に重要な判断材料となります。次に、「視診」です。医師は、実際に頭皮や髪の状態を目で見て確認します。薄毛がどの部分から進行しているか(生え際、頭頂部など)、そのパターンがAGAに典型的かどうかを判断します。さらに、多くのクリニックでは「マイクロスコープ」を用いた詳細な頭皮チェックが行われます。これにより、肉眼では見えない毛穴の状態、頭皮の色、髪の毛の太さなどを数十倍に拡大して観察できます。一本の毛穴から生えている髪の本数(通常は2~3本)が減っていないか、細く弱々しい髪(軟毛)の割合が増えていないか、といった客観的なデータは、AGAの進行度を判断する上で極めて重要な基準となります。これらの問診と視診の結果を総合的に評価し、医師はAGAであるかどうかを診断します。場合によっては、血液検査を行い、全身疾患やホルモン異常の可能性を除外することもあります。専門医による多角的な判断基準こそが、あなたの悩みの正体を解明し、最適な治療へと導く道しるべとなるのです。