AGA治療の現場においてミノキシジル内服薬いわゆるミノタブは高い発毛効果を持つ切り札として多くのクリニックで処方されており実際に劇的な改善を遂げた患者さんも数多く存在しますが日本皮膚科学会のガイドラインではこの治療法の推奨度はDランクすなわち「行うべきではない」とされていることに驚きや戸惑いを感じる人は少なくありません。この強烈なギャップの背景には効果と安全性のバランスに対する医学界の慎重な姿勢があります。ミノキシジルは元々高血圧の治療薬として開発された経緯があり血管を強力に拡張する作用があるため内服すると全身の血管に影響を及ぼし動悸や息切れむくみといった循環器系の副作用を引き起こすリスクがあります。さらに心臓への負担が増加することで心疾患の既往がある人にとっては重大な事故に繋がる可能性も否定できずまた全身の体毛が濃くなる多毛症はほぼ必発の副作用として知られています。ガイドラインを作成する委員会としては命に関わるリスクがわずかでもある以上美容的な目的である薄毛治療において安易に推奨することはできないという判断を下しておりこれがDランクの理由です。しかし臨床の現場では医師が患者の健康状態を厳密にチェックし定期的な血液検査や血圧測定を行うことでリスクをコントロールしながら処方を行っており「管理下であれば有用な治療法である」という認識が広がっているのも事実です。つまりガイドラインのDランクは「絶対に禁止」という意味ではなく「十分な検証がされておらずリスクがあるため安易に行うべきではない」という警告の意味合いが強く専門医の裁量と患者の同意に基づいて行われる適応外使用(オフラベル処方)として運用されています。患者としてはこの背景を正しく理解しミノキシジル内服薬を使用する場合にはリスクを十分に認識した上で必ず専門医の指導の下で服用することが求められます。自己判断で個人輸入した薬を服用することは安全装置のない車で暴走するようなものであり絶対に避けるべきです。推奨度が低い理由を知ることは逆に言えばどのような点に注意すれば安全に使用できるかを知ることでもありリスクとベネフィットを冷静に見極めるための重要な視点を提供してくれます。