AGA(男性型脱毛症)の診断や治療方針を決定する上で、世界中の医師が共通の「ものさし」として用いているのが、「ハミルトン・ノーウッド分類」です。これは、AGAの進行パターンを体系的に分類したもので、自分の薄毛がどの段階にあるのかを客観的に把握するための、非常に有用な判断基準となります。この分類法は、主に生え際と頭頂部の状態によって、Ⅰ型からⅦ型までの7つのステージに分けられています。Ⅰ型は、AGAがまだ発症していない正常な状態です。Ⅱ型になると、生え際の剃り込み部分がわずかに後退し始め、いわゆる「M字」の初期段階と判断されます。本人も気づかないことが多いレベルです。Ⅲ型は、Ⅱ型がさらに進行し、誰が見てもM字の後退が明らかになった状態です。このステージには、頭頂部も薄くなり始めるⅢ型Vertexというパターンも含まれます。多くの人が薄毛を自覚し、治療を考え始めるのがこの段階です。Ⅳ型では、M字のさらなる後退に加え、頭頂部の薄毛もはっきりと目立つようになります。ただし、M字部分と頭頂部の間には、まだ髪の毛が残っているのが特徴です。Ⅴ型になると、この間の髪の毛も薄くなり始め、M字部分と頭頂部の薄毛エリアが繋がりそうになります。全体的に頭頂部の薄さがかなり進行した状態と判断されます。Ⅵ型では、M字部分と頭頂部が完全に繋がり、側頭部と後頭部以外は広範囲にわたって薄毛が広がります。そして、最終段階であるⅦ型は、側頭部と後頭部にU字状に髪が残るのみで、最も進行した状態を示します。このハミルトン・ノーウッド分類という判断基準に自分の状態を当てはめてみることで、AGAの進行度を客観視できます。そして、一般的にステージが進むほど治療の難易度は上がります。この分類は、現状を認識し、早期に治療を開始すべきかどうかを判断するための、重要な羅針盤となるのです。
AGAの進行度がわかるハミルトンノーウッド分類という判断基準