男性型脱毛症いわゆる薄毛の悩みを持つ多くの男性にとって自分の症状がどの程度進行しているのかを客観的に把握することは治療方針を決定する上で極めて重要でありそのための指標として世界的に広く用いられているのがハミルトンノーウッド分類と呼ばれる分類法です。この分類法は一九五〇年代にジェームズハミルトン医師が考案し後にノーウッド医師が改定を加えたもので薄毛の進行パターンを主に生え際の後退具合と頭頂部の薄毛の広がり方に基づいて一型から七型までのステージに分類しておりこの基準を知ることで患者自身も自分の状態をある程度正確に認識できるようになります。まず初期段階である一型は生え際に目立った後退が見られず外見上はほとんど薄毛とは認識されないレベルですが将来的なリスクを考慮して予防的なケアを始めるのに適した時期と言えます。続いて二型になると額の生え際の両端が三角形に後退し始めいわゆるエム字型の兆候が現れますがこの段階ではまだ進行は軽度であり髪型でカバーできる範囲にとどまることが多いです。さらに進行した二型バーテックスと呼ばれる状態では生え際の後退に加えて頭頂部に円形の薄毛が見られるようになりここからが本格的な治療を検討すべき重要な分岐点となります。三型に進むと生え際の後退が顕著になりエム字が深くなるかもしくは前頭部全体の髪が薄くなり始めこの段階で多くの人が薄毛を自覚しクリニックの門を叩くことになります。三型バーテックスは生え際の後退と頭頂部の薄毛が同時に進行している状態で鏡を見たときや入浴後の濡れた髪で地肌が透けて見えることにショックを受ける人が増えるのもこの時期です。四型になると前頭部の後退と頭頂部の薄毛がさらに拡大しますがまだ両者の間には正常な髪のバンドが残っており二つの薄毛部分が繋がってはいない状態です。五型ではその正常な髪のバンドが徐々に細くなり前頭部と頭頂部の薄毛部分が繋がりそうになる境界線上のステージであり見た目の印象も大きく変わってきます。六型に至るとついに前頭部と頭頂部の薄毛が合体し頭の上部全体が薄くなるかもしくは完全に髪がない状態となり側頭部と後頭部にのみ髪が残る典型的な波平さんスタイルに近づきます。最終段階である七型は側頭部と後頭部に残った髪の帯も細くなり耳の周りと襟足にしか髪が残っていない状態で治療による劇的な改善が難しくなるため植毛などの外科的な手段やカツラの利用が主な選択肢となることが多いです。このようにハミルトンノーウッド分類は進行度を客観的な数値として捉えるための物差しであり医師と患者が共通の言語で症状を共有するために不可欠なツールとなっていますがこの分類は主に欧米人の薄毛パターンを基に作られているため日本人には必ずしも当てはまらないケースがあることも知っておく必要があります。日本人の場合は頭頂部から同心円状に薄くなるパターンや前頭部の生え際が保たれたまま全体的に密度が低下するパターンも多くこれらを補完するために高島分類などの日本人向けに調整された分類法も存在します。