額の広さや形には生まれつき個人差があるため、「どこからがM字はげなのか」という明確な定義はありません。しかし、AGA(男性型脱毛症)による生え際の後退には、いくつかの特徴的なパターンがあり、それを知ることが客観的な判断基準となります。AGAによるM字部分の後退は、多くの場合、左右の剃り込み部分から徐々に進行していきます。以前は産毛があった部分の毛が細くなり、やがて生えなくなって、額がアルファベットの「M」の形に見えるようになっていきます。セルフチェックで使える簡単な判断基準の一つに、「指を使った確認方法」があります。眉を上げて額にしわを寄せた際にできる一番上のしわのラインと、生え際の中央部分との間に、指が何本入るかを確認します。一般的に、指が2本程度であれば正常範囲、それ以上に隙間が広がっている場合は、生え際が後退している可能性があります。しかし、これも元々の額の広さに左右されるため、最も信頼できる判断基準は「過去の自分との比較」です。数年前の写真と現在の写真を見比べた時に、明らかに剃り込み部分が深くなっている、あるいは生え際のラインが上がっていると感じる場合は、AGAが進行している可能性が高いと言えるでしょう。また、後退している部分の髪質も重要な判断材料です。生え際の髪の毛が、他の部分の髪に比べて細く、弱々しくなっていませんか。髪の毛が細くなる「軟毛化」は、AGAの典型的な初期症状です。産毛のような頼りない毛しか生えてこなくなったと感じるなら、それは毛母細胞の働きが弱まっているサインです。M字はげは、ゆっくりと、しかし確実に進行します。生まれつきの額の形だと自己判断して放置するのではなく、これらの判断基準を元に、客観的な視点で自身の変化を捉え、少しでも疑いがあれば専門医に相談することが、将来の髪を守るための最善策となります。