薄毛が気になり始めたとき最初に相談すべき場所として思い浮かぶのはやはり皮膚科ではないでしょうか。しかしAGAすなわち男性型脱毛症は単なる皮膚のトラブルではなくホルモンバランスや遺伝が深く関与する進行性の疾患でありそのメカニズムや治療法についての正しい知識を持っていなければせっかく受診しても期待通りの結果が得られないことがあります。皮膚科医の視点からAGA治療の基礎を解説するとまずAGAは男性ホルモンの一種であるテストステロンが還元酵素によってジヒドロテストステロンに変換されそれが毛乳頭細胞にある受容体と結合することでヘアサイクルを乱し髪の成長期を極端に短くしてしまう現象です。このメカニズムを断ち切るために用いられるのがフィナステリドやデュタステリドといった内服薬でありこれらは還元酵素の働きを阻害することで脱毛の原因物質の生成を抑える役割を果たします。一般的な皮膚科ではこれらの内服薬の処方が治療の中心となりますがこれは日本皮膚科学会が策定した診療ガイドラインにおいて最も推奨度が高いAランクの治療法とされているため医学的根拠に基づいた堅実な選択と言えます。しかしここで注意が必要なのは一般的な皮膚科の多くはあくまで皮膚疾患全般を扱う医療機関であり薄毛治療に特化しているわけではないという点です。そのため医師によってはAGAに関する最新の知見や豊富な臨床経験を持っているとは限らずマニュアル通りの薬を処方するだけの対応になることも少なくありません。また保険診療が適応されない自由診療となるためクリニックによって薬の価格や診察料にばらつきがあり事前に費用を確認しておくことが重要です。さらに治療の効果が現れるまでには最低でも半年程度の継続が必要であり即効性を求めて焦って薬を変えたり服用を中断したりすることは逆効果となるため腰を据えて治療に取り組む姿勢が求められます。副作用についても正しく理解しておく必要があり性欲減退や肝機能障害といったリスクは低いながらも存在するため定期的な血液検査などで体の状態をチェックしながら安全に治療を進めることが大切です。皮膚科でのAGA治療はまずは進行を止めるという守りの治療が基本となりますが進行度や希望によっては発毛を促進するミノキシジル外用薬の併用なども検討されるべきであり自分の症状に合った最適な治療プランを医師と相談しながら決めていくことが成功への第一歩となります。AGAは早期発見早期治療が鉄則ですので少しでも気になり始めたら自己判断で放置せずまずは皮膚科の門を叩き専門家の診断を受けることを強くお勧めします。
皮膚科医が教えるAGA治療の基礎知識