日本皮膚科学会のガイドラインにおいて最高ランクのA評価すなわち「行うよう強く勧める」とされている治療法は現在のところフィナステリドとデュタステリドの内服およびミノキシジルの外用の三つに限られていますがこれらが選ばれているのには揺るぎない科学的な理由があります。まずフィナステリドとデュタステリドは共に5αリダクターゼという酵素の働きを阻害することでAGAの根本原因であるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑える作用を持っておりこれにより短縮してしまったヘアサイクルを正常に戻し抜け毛を食い止めるという守りの効果を発揮します。臨床データによればフィナステリドを服用した男性の90%以上で抜け毛の進行が止まりさらに多くの症例で改善が見られたという結果が出ており現状維持を望むならこれ以上の選択肢はないと言えるほどの実績を誇っています。一方のミノキシジル外用薬は血管を拡張して血流を良くすると同時に毛母細胞を直接刺激して細胞分裂を促すことで発毛を加速させる攻めの役割を担っており内服薬と併用することで相乗効果が生まれより確実な改善が期待できます。しかしAランクだからといって魔法の薬というわけではなく効果を実感するまでには最低でも半年程度の継続が必要であり服用を止めれば再び薄毛が進行してしまうという継続性の原則からは逃れられません。また副作用のリスクもゼロではなく性欲減退や勃起不全といった男性機能への影響が数パーセントの確率で報告されていますがこれらはプラセボ(偽薬)群と比較しても大きな差がない場合も多く過度な心配は不要とされることが多いものの医師による適切な管理が不可欠であることに変わりはありません。ガイドラインがAランクとしているのは単に効果が高いからだけでなく数万人の患者を対象とした大規模な試験で安全性が確認されているからこそでありこの安心感こそが標準治療の最大のメリットと言えます。インターネット上には「もっと効く」と謳う未承認の薬やサプリメントが溢れていますがそれらは公的な検証を経ておらず効果が不明確であるばかりか予期せぬ健康被害を招くリスクすらあります。治療を始めるにあたってはまずこのAランクの治療薬からスタートするのが鉄則でありそれで効果が不十分な場合に初めて他の選択肢を検討するというステップを踏むことが最も効率的で安全なアプローチとなります。確かなエビデンスに裏打ちされた治療薬を選ぶことは自分の身体を守りながら確実に結果を出すための賢明な戦略なのです。
推奨度Aの治療薬とその効果の真実