AGA治療を検討する際に必ず耳にするのがフィナステリドとデュタステリドという二つの薬剤の名前でありこれらはどちらも薄毛の進行を食い止める「守りの薬」として処方されますが具体的にどのような違いがありどちらを選べば良いのか迷ってしまう患者さんは少なくありません。まず両者に共通しているのは5αリダクターゼという酵素の働きを阻害する作用を持っている点でありこの酵素は男性ホルモンのテストステロンと結びつくことでジヒドロテストステロン(DHT)という強力な脱毛ホルモンを生成してしまうためこの結合をブロックすることでヘアサイクルの乱れを防ぎ抜け毛を減少させるというのが基本的なメカニズムです。しかし5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型という二つのタイプが存在しⅠ型は全身の皮脂腺に多く分布しているのに対しⅡ型は主に前頭部や頭頂部の毛乳頭に多く存在するという違いがあります。ここからが重要な違いとなりますがフィナステリド(商品名プロペシアなど)は主にⅡ型の5αリダクターゼのみを阻害する作用を持つのに対しデュタステリド(商品名ザガーロなど)はⅠ型とⅡ型の両方を阻害する作用を持っているという点が決定的な差となります。理論上は両方の型をブロックできるデュタステリドの方がDHTの生成をより強力に抑制できるため発毛効果や抜け毛防止効果が高いとされており臨床試験においてもデュタステリドの方がフィナステリドよりも毛髪数や毛の太さの増加率が高かったというデータも報告されています。これだけ聞くと「じゃあデュタステリドの方が絶対に良いのではないか」と思われるかもしれませんが効果が強力であるということはそれだけ副作用のリスクも高まる可能性があるということを意味しており性欲減退や勃起機能不全などの副作用の発現率はデュタステリドの方がわずかに高い傾向にあります。またデュタステリドは半減期(薬の成分が体内で半分になるまでの時間)が長く体内に長く留まる性質があるため万が一副作用が出た場合に薬を止めても成分が抜けるまでに時間がかかるという特徴もあります。一方フィナステリドは世界中で20年以上の使用実績があり安全性に関するデータが豊富に蓄積されているため「まずはフィナステリドから始めてみる」という選択が一般的であり多くのクリニックでも第一選択薬として推奨されています。実際の治療戦略としてはまずはフィナステリドを服用し半年から一年程度経過を見ても効果が不十分であった場合にデュタステリドへの切り替えを検討するというステップアップ方式がとられることが多くこれによりリスクを最小限に抑えつつ効果を最大化することが可能です。もちろん最初からより高い効果を求めてデュタステリドを選択することも可能ですがその場合は医師とよく相談しメリットとデメリットを十分に理解した上で決定することが重要です。どちらの薬も即効性があるわけではなく効果を実感するまでには最低でも半年程度の継続が必要となるため焦らずじっくりと治療に取り組む姿勢が求められます。
フィナステリドとデュタステリドの作用と効果の違い